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いくらでも引けます

bot収録歌1~100

bot収録歌一覧のコーナー

見出しはいらない気もする。その通りわたくし楡の短歌bot@ronire_log)に載せている歌を掲載しています。1~100首目までです。

※ただただ登録順に並べています。それ以外にはなんの秩序もありません。要は備忘録です。あしからず。

※手動カウントなので100首じゃないかもしれません。まあいいよね。

 それではどうぞ。

  

わたくしは水彩絵具 雨ふりで滲むこころに夕暮れが来る

溶けきった誓いを日々で封じ込めぼくは袋の破けない飴

雲を裂き飛ぶ円盤になりたくてフーセンガムの味はもうない

ギムレットきみが帰ってくるまでに何度地球が回るだろうね

思い出は思い起こせる分だけでいいというから吹くシャボン玉

散々なシナリオ。いつもだれか死ぬ。あしたきみんち燃えてしまうよ。

泣いたって始まらないこと知ってるよグミの欠片の透き通る青

きみだけが星をならべて生きていく あかりを消してよぼくのジョバンニ

「あいしてた」(ごめん)五音の旋律をつくれだれにもとどかぬように

「がんばれ」と口にするたび1000円を払わなくてはいけない決まり

ねむらずにまだ起きてるよ好きだよとずっと話していてほしいひと

どうしても好きになれないきみのため引いておこうか塔の逆位置

「了解」と返す 半分くらい嘘 空のまんまにしとく背景

そう、そうだ、そういうきみを知りたいの、だから泣いてていいよ、いいから、

しあわせに体積がありぼくたちは円柱重ね春に至るの

カシオペアたどる指先かじかんで「だからやさしくなれよお前が」

折り鶴の羽根をください コーヒーはいつまで経ってもコーヒーでいる

おとうとの瞳に墨を入れました泣いていました明日まで晴れ

あなただけゆるしてもいい くちびるの痕としていま柘榴をかじる

しんでいるだけでぼくらもにんげんだこわがられたらさみしいんだぞ

「好き。でもね、別に満足してるから。きみはわたしを好かなくていい」

明るくも暗くもなくてただ風の通る場所まで連れていってよ

朗らかに死んでゆきたい今日でした 半透膜をとおさない今日

問、僕が首を吊るのに必要な力を求めよ(配点:20)

消しゴムで消せない痕があるのだと知らないらしく鉛筆の夢

違わないことを大人の証明として黒髪のきみが住む国

馬鹿、おれを赦さないなら夏のうちまぶしいくらい死んでしまえよ

飴玉ははずれがあるのわたしたち愛しあっても芯まで薄荷

死ぬことも粋かもしれずぼくらには喉笛を切る自由があった

八日目の世界のゆくえ知っているかしら、褪せゆくフィルム、神さま

憎しみのしるしの傷を治さないことでしか愛せないあなただ

でもそれは叩くつもりの話だろ さわらなくてももう折れてるよ

蝉の世は終わるわたしが六甲のおいしい水を飲んでいる中

屋上は鍵かかってて無理よ、ねえわたしあなたの毒になろうか

赤だけが短くなって絵日記は夕焼けばかりだったと思う

とまりますボタンに触れた指先で窓にす、す、めと描いたけれど

歯並びのよいいきものがすべらかに齧ったようなあれが三日月

しらたきか糸こんにゃくかどっちでもいいよさっさと怒ってくれよ

雨、かつて勇ましかったものたちは空にのぼってはじめて泣いた

ぼくはなぜ生きていますか泣いていいですかメニューはお下げしますか

あなたこそ悪くないのよ世界中誰も彼もがごみくずなのよ

ひとりではなにもできないことくらいわかるよ、今日も「ただいま」と言う

ひととしてしてはいけないことばかりしている僕に降る夏の雨

オルフェウス愛を呪ったぼくらでもくちびるに歌のせていいかい

永遠に夏に囚われ永遠を知らない僕はどこにもいない

交差点白黒黄赤嗚咽齟齬蛙鳴蝉噪わたしはひとり

青春の形態として吹き出しが並ぶ わたしの声は黄緑

真っ白な空のはらわた縫い留めて虹が毒毒々しく笑う

もう嘘をついてもいいよ海棠が散ってしまってあなたはひとり

甘いのはすこしでいいと言う君の舌に飴玉転がれば梅雨

重力をかけてくださりありがとう 揃えた靴を礼としておく

暑い暑い夏のアイスの脊椎がやがてミーコの墓標となりぬ

曲はもうおしまいきみを忘れたいダンパーペダルをずっと踏んでる

閉じ込めてくれよ死なない程度でいい 階数表示をじっと見つめる

何もない誰も知らない朝焼けが僕に似てると言ったのは君

足掻いたら足掻いただけの傷跡が残るだなんてお前は馬鹿か

こんなにもまっしろな指すこしずつすこしずつでも絞める喰い込む

はじまりは同じ速さのはずだった 並走電車めいて僕たち

同じ名のファイルがすでにあるらしいきみを上書きしてもいいかな

進んではいけないですか 出した目の分だけ歌え泣き叫べ死ね

ちいさめの終わりをひとつ 勘定はぼくら地獄でまた会えたとき

友達の友達までに乗車券あげたよきみの青春は徒歩

買ってきた愛を溶かして固めますわたしは恋ができない仕様

指先に明日を瞳にその先をぼくらの胸にとおい未来を

口実が欲しかっただけ ほんとうはなんでもいいこの花の名なんて

「あ」と「い」から文字を覚えるこの国で生まれ今でも愛を知らない

100年を生きてもどうせ30年くらい寝ている くやしいことだ

ひとりごとひしめきあわせふたりごと ふたりぼっちのぼくら星座だ

がんばって砂のお城をつくってもつぎに砂場を使う子がいる

生きているから生きているぼくたちは歌を詠まずに生きていけるよ

5の最後ぐるんと上げて6にしたらしく元気な字で来る葉書

仇花と名乗ることすら忍びなく咲かないままで枯れるのでしょう

四月とは名詞としてのフレンドにためらいながらエスを足す頃

雪、ひらり、ひらり排気を飲み込んで、ここは天使の堕ちる街です

あなたってあまり白くてつめたいの舐めたら融けてしまう気がする

憎むべきひとがいません 幸せは第5使徒にも似て八面体

欲しいのは風 グレゴール・ザムザって蟲になっても夢を見たかな

むずかしい漢字のように生きてゆく覚えてもらわないでひそかに

言うならばまっすぐ僕の目を見てよ僕の目を見て死 ね と 言 っ て よ

だれのため生まれた歌だカッターの刃をべきべきと折る親指よ

さめざめとラムネの沈む あたたかくして寝なさいね毛布は二枚

プレゼントだと思ってた 愛してるなんていつでも言える言葉を

さようならイヴの庭先さようなら雪というこの身の成れの果て

まだなにも終わっていなく照らされる日々の影 ぼくら夜景になるね

黙れ黙れすべての愛を殺したい窓の結露は落として捨てる

だんだんと天気が悪くなることを褒めたら雨が止んでしまった

映らない画面の黒を宇宙としひとつふたつと割れる重力

たくさんの嫌いなものの中にあるピーマン、セロリ、犬、冬、あなた

愛しあうもののすべてに祈るようぶち壊したき各停が来る

窓辺 まだあたたかい部屋 ふたりからひとりになって猫めいたぼく

なくなってしまうけれども泣かせてよ睫毛の下でひかる朝焼け

あとはもう知らないどうでもいい僕はたべてしまえばよかった、きみを!

こころ用絆創膏としてうすくかぶせた夢だ 剥がしたくない

抜け落ちた思い出拾うついでです いつかの君と好きだった君

「君じゃないわたしが君を好きなのが怖くてわたしいつも死にたい」

あのひとのなにかになればあのひとのなにかがぼくになるのだろうか

今日未明殺されていたひとの名を知りつつ食べるおにぎりの海苔

数式を呪文と呼んで僕たちの国は魔法を禁じています

はやくしてほしいその指その白でなぞられひとになっていくから

生意気ね、愛されているきみが好き。永久凍土のようにこどもで。

 

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次の100首はこちら↓

itismessyhere.hatenablog.com

 

初期の歌って今見ると直したいやつたくさんあるね。でも当時の全力の推敲を残しておきたい気持ちもある。儂は過去を愛したい。今後ともよろしくお願いします。