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いくらでも引けます

bot収録歌101~200

見出し

見出しだね。楡の短歌bot@ronire_log)収録歌一覧の続きです。101~200首目まで。

※登録順です。他に秩序はありません。見づらくても仕様。

※手動カウントなので100首じゃない可能性があります。

 それではどうぞ。

 

がんばれることなどなくてがんばってみたくてだめでみせてさいはて

恋をしてみようと思い恋は死に至る病と知る曹達水

逃げること赦されることダス=マンは嫌いですかと訊けないでいる

東京で買った林檎も真ん中が蜜でそういうことがうれしい

こちら僕。僕を好かない君のこと、好きです。今日も雨です。どうぞ。

わたしたち他人なんだね天蓋は青くそれでも好きでいたいよ

めいっぱい大きな数を訊ねられひゃくと答えていた頃の僕

鍵盤の80番目として生まれ弾かれなくてもピアノでいたい

11時11分をひとつずつ拾い集めて暮らすわたくし

為せば成るなんてだれかが言ったから為さねばならぬなにごとも 梅雨

夜に身を齧り取られてゆく月も綺麗だ君のように綺麗だ

蜜色に夕陽のそそぐ夏の日のただ奇跡とは降るものでした

三つ編みの似合う才能携えた少女のための夏であれかし

羽のない扇風機なら「扇」の字を与える意味はないと言う君

光とはあなたではない 両の瞳にブルーライトの影をたたえて

くちづけは詩に描かれてきみの繰るページの中にそっと佇む

エビアンで錠剤を飲む やさしさを無駄なところに使える身分

天使には生きづらかろう 制服を着るため君は翼をたたむ

こころからなにかを祈るひとがいて夏はこんなに眩しいのだろう

錠剤を飲むための水ひたひたとコップに満ちてしまう 泣きそう

ああ君は書架から書架へ往くのだね羽根の栞をひとつ頂戴

制服の下に珊瑚を棲まわせてあなたはいつもあたたかな海

愛のある暮らし愛など忘れてもきみの使ったマグは割れない

どこまでも海岸線に連なって死んだ海星も愛してあげる

少女とは病治らぬ病なら毒牙で突けよこの心臓を

うっすらと延ばした蝶の羽根めいておまえは空に溶けてゆくのを

トーストを焼くような朝どこにでもある朝きみのいない朝です

心臓をたべよう愛が足りないよ足りないぼくはイチゴを潰す

弱い指重ねることを約束と呼んで生きるの 愛はまやかし

触れかけた小指と小指信号はそれでも青になるのね嫌い

駆けてきた笑顔のきみが抱えてる13日の金曜の首

ただいまとごめんなさいが結びつく長い家出の最後の五月

街路樹は季節の外に住んでいて死んでもいいよ昼下がりだし

あなたから僕を忘れてくださいね 雲がさらさら流れるように

止まってもいちにち二度は正しいよだから止まっていいよ時計も

NOW LOADING 回る矢印 「認めたくないことばかり起こりますよね」

愛したいけど愛さないよく切れる刃物はこわい週末は雨

芋虫のようね 剥かれた伊予柑の酸味甘味をぜんぶ砕いて

愛されることの静けさ 見返りはいらないなんて大嘘ついて

割り箸がきれいに割れたよろこびを1としきょうは8くらいの日

ひとの手でつくられていた冬の日にゆめゆめ帰ることなかれきみ

春巻きの皮の名前が春巻きの皮だと知ってそれでも生きる

ほんとうのことを言おうかその羊ぼくの夢から派遣してます

まちがってないよと言おうまちがっていないみんなに囲まれた駅

愛させてくださいきみのいる夜をきみの吐息の白さをきみを

失ってきたものばかり降るでしょう傘を忘れず寝てくださいね

どうしてもすべてがまるい この喉につかえるものがなくて詠めない

全米が泣いたと知って泣けなくてこの長い髪切りにゆきます

ねむる前すこし布団をあたためるよいおばけですごめんください

気づかれずとおい足跡みせていくようにたしかに廻れ、夕暮れ

ことばからことばに停る蝶々がきれい わたしはあれになりたい

三日目の湯船のお湯と懺悔とをともに飲み干し笑う怪物

きみの死を震える手から落とす 夢夢これは夢キリエエレイソン

おとうとの隣で眠る 撥条を巻いてもだめな羽根でよかった

うすくうすく息をしていた森にいて二度と死なない少年の春

ゆびさきにおそらのあおがしみこんでわたしは鶴の折れないこども

素敵ねと言われてしまいこの爪をきみにあげたくなってやめたよ

胃の中に罪を飼ってる きょう食べたラザニアだけが知ってる話

「きみの手に触れるすべてがきらい」「なら、あなたはあなたがきらい?」「そうだよ」

鍵という鍵を忘れてコンビニのひかり 明日がまた来るように

でもこれは窓辺にひかる月あかり きみにはきみの夜明けがあろう

エイを見てエイだねと言うきみと行く水族館がいちばんすてき

体温の入れものとしてきみが好き指先すこしふるえているか

ひとりでは寒かったろう泣く君の唇す、き、の形をなぞる

こいびとは秋に似ていてひとひらの枯葉のせいでうつくしくなる

まちがって咲いてしまった花ふたつ笑いあっても冬は寒いね

見てなさい、死んだら勝ちよ。下を見ておくのよ、最後まで。いい?せーのっ、

ひらいてもむすぶ手のひら 愛しさで触れることとはいつくしむこと

相応に愛されていていつまでも指が触れては「ごめん」って言う

ファム・ファタルたましいの火よ燻らせて阻まれるものみなうつくしき

神さまはいなくてもいい ものを言う偶像として君を 君をさ

ふんわりと明日は壊れる だし巻きの卵に箸をさし入れるとき

神「虹にしようとしてた七色をお前に注ぐ痛恨のミス」

死にたいといつも言うけどあなたって赤信号をきちんと守る

懐かしい瑕のあおいろ引き攣れて愛しあうとは僕らのことだ

指先で触れる、つめたい。「どうしたの、おかしな子。」「ねえ、好きよ」「知ってる。」

お星さまお星さまって手を伸ばすこどもの指に降るまほうつかい

「そらいろ」は無数にあるよ「晴れた日の昼の空色」だろうお前は

教室にならぶ机のひとつずつ はるかな音を聴いたか 歌を

真夜中に窓は震える ふたしかな光ばかりの街見下ろして

「カーテンの隙から漏れたしあわせを夜空に撒いてみたのよ、きれい?」

「傷口をひらいてみよう」 理科室の子どものような瞳で泣く君を

愛を乞う一切を乞う 永遠がきみの形でなくてよかった

地獄はさここにあるから 地獄では名のない猫も墓をもらうの

夏の影引きずるひとを転ばせて線路に落とす担当の神

断つための鋏だろうよ布ばかり切るな嫌いだ殺せわたしを

十七になっていました いちめんの星いちめんの不発弾なり

胃袋のかたちがわかる こんなにも粉薬とは朝を満たして

セーラーの襟に風受け行く君はいまひとたびの触れられぬ空

神さまも泣いたのだろうその指で置いたのだろう辞書に死の字を

月光は眼窩に満ちる 見えるものみな奪われてあなたはきれい

やさしさにかたちがあって君に切るこれは最後のうさぎの林檎

不定とは雨降りの日の足跡のならいであった ひらかれる傘

真っ直ぐに宇宙を描く眼差しを震わすほどの涙 しずかに

バス停の足元に立つ八重葎 だれかがきっと泣いているだろう

燃やしたら燃えると思う僕などを含めたここのすべてのゴミは

孤独孤独孤独を詰めてひた走るつめたき檻であった 電車は

死にたいと帰路を駆け抜けゆくひとの起こす風にて出逢えよ蜻蛉

願わない君だからまた会えなくて笹に僕の字ばかり散らばる

血を吸われ冷たくなった空は夜メゾソプラノの歌声を聴く

 

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今は絶対詠めねえ歌もたくさんあるなあ。なんで真夜中にこんな記事編集してるんだろう。夜中大好き。今後ともよろしくお願いします。